「6月になったらまたおいで。ラヴェンダーの紫はきみによく似あうよ」(モーリス)
「私はちょっとふらっとしてしまいました」(千乃嬢)

この会話が確認したくて6月のプロヴァンスにやってきました。 そして、蜜蜂の飛び交うラヴェンダーの畑でよみがえるのはいつもこの会話。 蜜蜂の羽音とラヴェンダーの匂いが交錯します。

デュランス川の谷の、D4の道端で野菜を売っている農家の奥さんにたずねます。
「このあたりに美しいラヴェンダーの畑があると聞いたのですが、それはどこですか?」
「ラヴェンダーの畑かい。それならヴァレンソル高原だね」

ヴァレンソル高原。それは、デュランス川の谷の東に広がるなだらかな土地でした。 緩やかな起伏の土地に広がる条をなしたラヴェンダーの畑。そして、麦秋の麦。



  illustration by TASUKE.

空は、もちろんプロヴァンス晴れ。浮かぶ雲も高くて真っ白。 高原はデュランス川で断ち切られ、向こうにはアルビオンとか、リュベロンとか、もう一 つの高みとなって再開します。そこは、ジャン・ジオノの「木を植えた男」の舞台ですね。

では、ラヴェンダーの匂いいっぱいの、6月のプロヴァンスでの「南仏な会話」をお楽しみください。

今回は84県と04県の「奥地」に行ったのですが、そこで会った地元の人 たちの親切さには驚きました。とってもすてきな「田舎の人たち」だったん です。

うーん、これはあきらかに、よく行く06県の人たちとはちがいます。 たとえば、市内バスの乗客でも運転手に「お早う」とか「ありがとう」とか あいさつするし、運転手もちゃんと答えます。これっていいですね。

で、そこで出会った人たちとの楽しい会話を中心にシリーズとしてアップし てみますね。

くれぐれも誤解のないように申し添えておきますが、私のフランス語は片言 です。 でも、たとえ片言でも、文法的にめちゃくちゃでも、通じれば楽しいのです! それに、南仏にはフランス語が片言の外国人がごろごろしていますから、ちっ ともはずかしくはありません。

お に ば ! (=さあ、いこう)


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