南仏な会話 2


アプトから灼熱の丘陵越えを3時間がかりでして、1時間下ると今晩の 泊地ソールトです。たっぷり汗をかきました。でも、シャツはからから。 一番の中心の交差点にあるバーに席をとります。 となりのテーブルでは、2人のツーリング(バイク)のおにいさんが出発 するところです。テーブルの上には、2つの大ジョッキが残っています! その誘惑に勝てず、同じ物を所望して、汗で出た水分を補給します。

やっと息をついた私は、「プロヴァンスの旅籠ガイド」で目星をつけてお いたビラ風ホテルを指してバーのおやじに聞きます。

「このホテルはどこにありますか?」
「この道を上っていくでしょ。そうすると、消防署があるよ。ほら、ピー ポーピーポーというやつ。」と、この消防車のまねがやけにうまい。
「その消防署のところを左に曲がって行くんだよ。」
「この宿はおすすめですか?」と私。 こたえは、ウイでした。

さて、現地にむかいます。消防署から先、灌木の原っぱをだいぶ行きま す。目的地は、すっごい立派な、プールや屋外レストランつきのリゾー トビラの風ですね。谷(盆地)が見下ろせるのもすばらしい。 「今晩泊まれますか?」

主人が答えます。「残念ながら今晩は満室です。」 「うちはいっぱいだけど、町のホテル・アルビオンなら空室があるの で、そちらにしては。」とすすめてくれます。

「自転車できたのだから、お疲れでしょう。私の車で自転車ごと運び ましょう。」と言ってくれます。これはありがたいオファーです。

彼は、前に止まっている大型ミニバンの後ろに自転車をのせるのを手 伝ってくれます。どうしたわけか、すでに後ろの座席は倒れており、 ビニールシートが敷いてあります。 助手席に乗るときにシートベルト着用を促すチャイムが鳴るのを私は 聞き逃しませんでした。

「この車はアメリカ製ですか?」
「そう。とってもいい車だよ。この車で、毎日、アヴィニョンまで食 材の買い出しをするのです。」ということでした。
アヴィニョンとは遠い! それなら、きっとレストランもおいしいで しょう。

明朝、バーのある中心部を散歩します。 そうすると、「やあ」とむこうから来たおじさんが話しかけて握手 します。あっ、きのう乗せてくれたあのホテルのおやじさんだ。


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