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55a 【遅れて行ったサントロペ】 前編
やっとSt.Tropez(サントロペ)へ行ってきたお話しです。

 今回は、始めからサントロペへ行く予定ではなかったのですが、時差ぼけで朝の2時ころから、目を覚ましてしまい「きょうはどこへ行こうか」と考えているうちに、ベルさんに先を越されてしまっているサントロペ半島のことを思い出したのです。 今日は3日間の滞在の中日(かなび)なので、長い実動時間がとれます。 
 地図によると、La FouxからGassinに入って、Ramatuelle、そしてSt.Tropezに下りてくる半島の中ほどの周遊コースが組めそうなので、それを一回りすることにする。 全部で15キロくらい。ま、歩いて5時間かければ回り切れるだろう。 
 ニースを8時14分に出るストラスブール行きはストの時も運行対象になる、運の強い列車だ。St.Raphaelについたのは朝の9時。駅前はやや涼しい風が吹いていた。 
 St.Tropez行きのバスはどこから出るのだろうか? と思うと、案内所のサインが目にはいったので、そこでバスターミナル(gare routiere)の場所とダイヤ表を入手しておく。むむ、10時20分までないぞ。 
 それまでの間、旧港をぐるっと回ってみる。ヨットがたくさん停泊した入り江は、ニース付近とはちょっとちがった雰囲気である。 
 さて、どっかでお昼の調達をしておかねば。15キロ歩くとなると、途中で腹が減るし、のども乾く。レストランやカフェがないわけではなかろうが、念のため。 バスターミナルの食堂で「アメリカン」というサンドイッチを頼む。ポテトのフライと肉が入ったものだ、という。 
 頼んでから油を暖め始めて、ポテトを揚げるので時間が心配になる。 「あのー、20分のバスにのるのだけど、大丈夫ですか?」と私。 「sans problem」と店の人。 
 「この人がバスの運転手だから、絶対大丈夫」なのだそうだ。 ああ、さっきからダベっていいるこの背の低めの人は運転手なのか。 運転手は「今のうちにキップを買ってきなさい。キップ売り場はこの裏手にあるから。」と教えてくれる。

   サンドイッチを作っている間に買いに行く。 時間がないので、サンドイッチは包んでもらう。 
  発車時刻になってもぱらぱらとやってくる客にいちいちきっぷを売っているのでなかなか発車できない。運転手は遅れてくる客に「もう発車時刻を過ぎているんだぞ」と文句をいいながらいらだっている。 確かにバスのダイヤはタイトに出来ていて、必死に走っても5分の遅れは取り戻せなかった。バスは海岸のリゾート地をぬけて走る。 
 La Fouxは、ぶどう畑などが広がる平野の中の村。バス停は場違いにでかいショッピングセンターの外にあった。
ここは直径400mくらいの巨大なロータリーにもなっていたので、Toulon方向の出口にすすむ。なんと、このショッピングセンターに隣接して観光案内所があるではないか。観光案内所にはいつも重宝する。ここでGassin、Ramatuelle付近を走っているバスのダイヤを入手する。 
 さて、Toulonへ行く道はやたらと交通量が多くて歩いてもおもしろくない。 500mほど歩くとバス停があり、まもなくToulon行きが来ることを発見。じゃ、これにGassinへ行く道の分岐まで乗ることにしよう。 
 運転手に「Gassinに一番近いところまで」というと「それはXXだ」とかいって、キップをくれる。4分ほどでそこへついたら「あの道を左に行けばGassinだ」とおしえてくれる。 
 Gassinへの道は、うってかわって素晴らしい。すでに半島の付け根の内部に入ったのでそこそこの丘陵地帯になっている。そのぶどう畑のなかの道を進むとそのうち道は曲がりくねった上りになる。まわりは、森に変わる。
鳥は鳴いているし、新芽は芽吹いているし、とても良い気分。 
 これを1時間弱進むと、丘の上の集落、Gassinにでる。 
 小さな村だが、一番の特徴は広い展望テラスがあること。ここからは眼下、ぶどう畑の向こうに地中海が見える! テラスは多くのレストランが共有してテーブルがならんでいる。 
 ここで優雅なランチにしたい気分でもあるが、単身だし、サンドイッチもあるので、ベンチでジュースとサンドイッチですませてしまう。ちょっと侘しい。

 
ニース駅のホーム
St.Tropezの広場でペタングをする人たち 98-3撮影

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