途中で鷲の巣村の一つ、Tourrettes sur Loupに立ち寄る。町並みはSt.-Paul
Venceに似ているが、観光客の数は少ない分素顔がのぞけるようで楽しい。この町にも芸術家が多く住んでいるようで、ギャラリーやアトリエが多い。あまり時間はとれないので、ちょっとお散歩するにとどめる。
この近くはLoupのつく地名が多い。Gorges du Loupとか、Vallee du
LoupとかLe Bar-sur-LoupとかPont-du-Loupとか。まるで狼の体の上を走り回っているよう(^^;)なにか謂れがあるのだろうか。
そう、Tourrettes sur Loupは、谷あいにある町かとおもっていたら、そうではないんですね。一応、遠くに地中海を見渡せる、明るい斜面の町です。町から少し離れたところに大駐車場があって、そこからだと町がよく見渡せる。町への道沿いに、ついこの前まで使われていたような金属製のおおきな水車があった。
ようやくGrasseにたどり着いたときは5時近く。天候は回復したのでまだ空は明るいが、なんとなく夕方の気配が漂う。Grasseは、今日訪ねた中では一番大きな町だ。ここに来たからには、やはり香水工場を見学しない訳にはいかない。
という訳でFragonard社を訪問。観光客が大勢詰めかけている。建物に入っ
た途端、濃密な花の香りが。ここでiciとChloeは叫んだ。「あ、私たちって、
強い香水が苦手だったのよね...」
以上、イタリックは、Chloe さんの【135時間】より。
やっぱり、わたしの感性は鈍いのだろうか。この匂いを快感とも不快感とも感じることなく、見学へとすすんだ。 「案内のツアーは何時に始まりますか」
「英語でいいですか? なら、すぐ始まります」
正真正銘のイギリス英語を話すお嬢さんが、川下から逆順に香水の製造プロセスの説明をしてくれった。アルミのボトルがいかに香水の容器として適しているとか、ここの売店で買うのが割安か、などなど。
それから、調香師になるためには、どれだけの訓練期間と精進が必要かきいてびっくり。とくに、酒とタバコは絶対にだめなんだそうです。
香水の原料の植物の熱にたいする丈夫さによって抽出のプロセスがいく通りもあるのが面白かった。とくに敏感な植物の場合、脂肪の中に長時間浸けて抽出します。その脂肪から「香水のもとの成分」を分離した残りを石鹸に加工します。抜けがらなので、石鹸からはそんなに強い匂いはしてこない。
それにしても、英語の説明はよくわかる。説明も的確だ。さっきのマチスの礼拝堂の解説はフランス語でさっぱりだったのだが。
ところで、ここには、先程の案内嬢同様、なかなかセンスのいいコスチュームで統一した案内嬢兼売り子さんが何人もいて、4〜5人は、間違いなく「フランス語を話すイギリス人」だ。(「英語を話すフランス人」ではなく) わざわざイギリスからリクルートしてきたんだろうか。でも、フランス語もネイティブなみだった。
ま、Chloe さん同様、石鹸ばかり買った私であったが、慨してフラゴナールにはよい印象をもつ事が出来ましたよ。さ、クレープで腹ごしらえをして、海辺へ下ろう。 |