BSの特集番組で出てくる「セーニョンの村はずれにあるモレナスおじいさんの映画館」は、ぜひ確認しておかねば。
-リュベロン最後の日、セニョンの村で、日本でも山村なんかでよくある、「車載店舗」で買い物をしていたおばさんに、「ル・コロンビエへはどうしていくのですか」とたずねる。民宿の奥さんベロニクは「それはル・コロンビエ」にある、と教えてくれたからでした。
そのおばさんは、「モレナスのところへ行くかい? なら、その道をあがっていって、ああ行ってこう行って、ルジャンという標識に従いなさい」と丁寧に教えてくれた。
ルジャン? どう書くんだろうか? 発音からすると、Regain(育毛剤みたいだなあ)だろうか?
なんと、その案内標識は15分ほど前、民宿のあるビュースからセニョンにくる途中に通りすぎた場所にあった。Regainのキーワードを知らなかったから、とおりすぎてしまったわけだ。Regainは地名なのか、映画館の名前なのか。それにしても、これでは「セーニョンの村外れ」というものの、歩けば小1時間はかかるぞ。
案内板にしたがってたどりついたのは、広場と平屋建ての「小屋」。そこで行き止まりだった。たまたまやってきた男の人に「モレーナスさんの家はどこですか?」と聞く。
そこの道から階段を降りていくと、モレーナスさんの家のテラスに出るよ。だけど、モレーナスさんは、あしたの夜まで出かけているよ。奥さんは朝ご飯を作っている」と親切だ。
「いいえ、モレーナスさんの家をみるだけです」
「ああ、立派な家だからね」
階段を降りていくと、もう屋敷の中。気づいた息子と思しき家人が出てくる。
「あのお、テレビで見た映画館をたずねてきたんですが」 「それなら、この道をずっといけばよい」との返事。
ええ? まだ奥なの? とその車道をずんずんいくと、なんだ、先程の駐車場にもどってしまう。どこかで見落としたのかなあ? これであきらめかなあ。と帰ろうとしたとき、平屋建ての「小屋」の扉があいているのに気付く。ただの物置だとおもっていたんだけど、もしかして、と中へ入ると、客席が目に入る。扉があいていたのが幸いだった。もちろん、人は誰もいない。
これだ! 最初に、「モレナスさんの家」といわずに「映画館」とたずねればよかったのだった。
映画は夏しか上映しないので、いまはとても荒れている。スクリーンも上がったままだ。このステージのスクリーンの前に千乃嬢は立ち、Manon
des Sources が映写されたのだ。
壁には古いポスターがびっしり。ポスターからミストラルの「ミレイユ(プロヴァンスの少女)」も映画化されていることがわかった。
写真に収めて、満足しながらアプトの町に降りることにした。
あとで調べてわかったことだが、ル・コロンビエは地名で(といっても、ほかに家はなかった)、Regain(復活)は、映画館およびユースホステルの名前のようでした。
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