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13 サントノラ島 



前の週の土曜日にレラン諸島の2つの島のうち、サントマルギュリート島へ行ってきたのですが、船が冬ダイヤで減便しており、予定したサントノラ島へは行けずしまい。これがなんとなく心残りで、授業のない月曜日の午後(すなわち21日)に何とか望みをはたそうと画策したわけでした。  朝、自室から船会社へ電話して、行きと帰りのスケジュールを確認する。フランスでは普通でも24時制をつかうのに、相手が12時制でこたえてくるので、やりとりにえらい苦労する。まだまだ、時間の表現は難しい。  

さて、ランチタイムにクラスのみんなで「午後はなにをしようか」という話題になる。イルバがスティフアニーとランデブーがある他はだれも予定がない。わたしはサントノラ島行きを提案する。すぐに列車でカンヌへ行って、2時の便にのればよい、と。  

というわけで、クラスメートの6人のうちから、自宅通学のキャロルとイルバをのぞいた4人で、サントノラ行きが決定。ドイツのルクセンブルグ国境の街 Trier から来ているライナーは、自分の「ゴルフ」で通学している。で、彼の車で行くことにし、1時半ころ、私が助手席でナビゲータ、ジョルジュとマリアンヌが後部座席にすわり、一路カンヌへ。  

カンヌの船着き場についたのは1時50分すぎ。ところがどの駐車場も満車。 だいぶ通り過ぎたところにとめて、勝手がわかり一番身軽なわたしが走って船着き場に戻る。全員のキップをかって、船を待たせておく。  

みんなが乗ったところですぐに出港。平日なのに乗客があふれている。とくに外国人が多い。操縦室にいる女性ガイドが英語を除く各国語で案内をしてくれる。船は、島へ向かうのではなく、海岸沿いに東へ向かい、ガイドは、林立する超豪華ホテルの案内をする。ライナーがやてきって、「やばい、船を間違えたらしい。これは湾内クルーズだよ。」という。一瞬、またサントノラはお預けかな、とおもった。がそのうち、(クロワゼットの)岬で船は右に航路を変え、一路外海はサントマルギュリートにむかう。ここで、多くの客をおろしてすっきりした後、この島の裏にあるサントノラにむかう。港はこちらがわなのに、船は島の裏側(つまり、アフリカ側)にまわりこむ。 これは、裏側に修道院と要塞があるからである。要塞は、海の中の岩場につくられた大きな砦。スコットランドの海辺につくられた城を連想させるが、場所がらずっとあかるい。そもそも海の色が違う。それに隣接するようにあるのが、広大で優美な修道院である。近くまでよったら、Uターンして先程の港に入港する。港からは、さきほどのサントマルギュリートの裏側の岩場がすぐそこに見える。そしてそのむこうにはカンヌやジュアンレパンといった街々がならび、背後には雪をいただいたcollineが。(山というべきか、丘というべきか、頂上が平らな1500m級の連山。)島から見る陸のながめは、どれだけみていても飽きない。

 4人で海岸線にそって、三々五々歩きはじめる。途中、降りられる岩場では、マリアンヌがいきなり靴と靴下をぬいで、足をばちゃぱちゃはじめる。背景にはカンヌの街。つい、写真をとる衝動にかられる。  海岸沿いにまわって、さきほど見た砦に着く。廃墟状態ではあるが、重層構造で結構おおきい。最上層まであがると、修道院が俯瞰できる。修道院には、畑があり、洗濯物が干してあり、島のなかでここだけが生活の匂いがする。  

修道院の庭にはヤシの木がたち、サボテンがはえている。カリフォルニアでいくつか行ったミッションに似てはいる。しかし、規模において、建物の優美さにおいて、こちらが数段上だ。とくに回廊がすばらしい。質素な売店で自家製のラベンダーのエッセンスの小ビンをかう。  

予定より少し遅れて迎えの船が。われわれ以外はほとんどがフランス人だ。これで、カンヌへ直行。途中でお茶を飲みながら、薄暮のなか、宿舎へ戻る。(全員、同じところに泊まっているのです)