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12  クリストッフのこと



彼は、ハンブルグからきている、秀才であることはすでに紹介しました。

彼と話したときの話題は、ほかと人との場合と少し違い、どちらかといえば独・日のビジネスマンの会話、に近い物になりました。彼は、学生(院生?)ですが、わたしは、日本に帰ればビジネスマンですから。

以下は、彼との英語での会話の一部です。 彼の夢は、レストランかホテルのチェーンを経営することだそうす。たしかにこれは自由競争経済の典型のようで、おもしろいビジネスのようです。

わたしは、メーカーの新製品開発において、何年もかけて開発したプロジェクトが日の目を見なくなること、しかもそれが上司の(ときとして間違った)判断に起因する物だったりするときの落胆、挫折感について話しました。 そして、この学校の教師は、毎週、かならず生徒が感謝のことばを残して去って行く。また、そのときは、生徒の力が向上していることで、確実に自分の行為の結果を知ることができる。これは、とても「やりがいのある仕事」ではないか、といいました。 彼は、だが、いかなるビジネスでも、景気に左右されない物はない、ともいいました。

彼は、わたしより数段フランス語がじょうずで、自然に Super! なんて口に出て来るくらいです。 だが、フランス語は、このようにしてフランスへ来て勉強して習得したそうです。これが3回目だが、この学校は以前にかよったところに比べて、抜群にすばらしい、といっていました。(一発で、マグレでここへ来た私は、ラッキーですね。)

フランス最後の晩に、彼とジョルジュの3人で食事をしましたが、意外にも彼は私にギフトを持ってきてくれました。決して高価な物ではないが、違うクラスの人からこんなものをもらって、ととてもうれしく思いました。

中身は、 Marcel Pagnolの La gloire de mon pere というペーパーバックでした。(シリーズの1つ) 私はとっさに、NHKで放映された「プロバンス物語」のオリジナルではないかとおもいました。帰国してよくみると、たしかにビデオ化されている、と書いてありました。

彼いわく: 「いろんな本の中で、匂いのする本というのは、ほかには知らない。」 この本からは、プロバンスの匂いがする、というわけだ。 うれしいよ、この心遣い。

匂い、といえばカンヌの沖にあるレラン諸島のひとつ、サントノラ島の修道院で、ラベンダーのエッセンスなるものを買い、現在、家じゅうがラベンダーの匂いがするようになっております。