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はじめにエピローグ 


3月1日の夕刻、ルフトハンザ710便はフランクフルトからまっすく東京へ向かい、今バルト海上空を飛んでいる。 すばらしい出会いの後には、つらい別れがある事など、この年になれば当然分っていたはずなのに涙があふれる。きっとすばらしい出会いがあるだろう、と期待はしていたが、それは期待をはるかに超えていた。 この2週間は何だったのだろう? 夢のようなコートダジュールの2週間。そしてあまりにも突然の幕引きと、急遽、ドイツ機での帰国。

さようなら。 ナタリー、クリスチャン、レオノール、ジョルジュ、マリアンヌ、クリストッフ、ティナ、ライナー、キャロル、イルバ そしてトモコ。 前日だというのに、安い片道エコノミー切符をみつけてくれた学校のスタッフたち。

今朝のコートダジュールの景色はすべて霧雨のなかだった。この天気は、私の気持ちそのものだった。LH4545便はニースを発って乗り換え地点のフランクフルトに飛んだ。

昨日のみんなの別れのあいさつは、 「気を付けてね」 「たいした事ないといいですね」 「ついたころにはよくなっているとよいですね」 「今度はぜひ奥さんを連れてきてね」 と、やさしい気遣いばかりであった。でも、こんな言葉をかけられて、理解できるようになったこの2週間の学習の成果は、やはり絶大だった。