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20 移動編 


 夜行バスはいいものです。一番の魅力は、深夜のサービスエリアやターミナ ルでの休憩です。そこで食べるローカルな食べ物が、普通のレストランより ずっとおいしい・・・
 さあ、サンパウロからポルトアレグレに向かって出発です。サンパウロのホドヴィアリアは巨大です。新宿の高速バスターミナルを1と すると、リオのが100、サンパウロが300といったくらいだろうか。ま あ、新宿は小さすぎますがね。
 ここでは切符売り場の番号が300まであるのです。もっとも途中がとん でいるので、全部で100位でしょうが、それでも多いですよね。会社ごと に、さらに行き先ごとに分かれているので、自分の行くところの窓口を見つ け出さないといけません。これはなかなか戸惑うのですが、スペインですで に経験済みです。まあ、このあたりのスリルが旅の醍醐味と言えましょうか。 先のホテルの予約を入れてあるわけでもないので、乗れなかったら別の所へ 行けばいいし。
 とにもかくにも、ポルトアレグレ行きは11番だということがわかり、そこ へ行ってバスダイヤ(オラリオ)を尋ねます。「地球」に書いてある通りのダ イヤでしたが、今夜は満席とか。
 あらあら、これは困った、と思っていると係嬢はおもむろに「20時45分に 130ヘアルのレイトがあるが、これでもいいか」と言ってきます。おいおい、 いいどころじゃないよ。レイトはいちばん高級な座席のバスのこと。むしろそ れに乗りたい位なのに。
 でも、どうして最初からそれを案内してくれなかったのだろう? もし21時 の便に空席があったら、レイトの存在は教えてもられなかったのだろうか。こん なよれよれのオッサン、金なんか持ってないだろう、って?
 彼女は、モニターに写る座席配置表を見せながら、27番が残っているけどい いか、とたずねてきます。もちろんシーです。 つぎは、出発するベイ(プラットフォーム)を探し当てないといけません。ま あ、その前に適当に腹ごしらえもして。そうそう、サンパウロのホドヴィアリ アは超危険だと聞いたので、置き引きにも気をつけて。なんて、すっかり汗を かいてしまいます。
 このレイトは快適でした。フラットに近くリクライニングになり、大きな毛布が あてがわれます。前の座席から巨大なべろのようなものが倒れてきて、自分の座 っている座席とつながるので、ベッドのような構造になります。さらに、縦3列 の座席配置なので通路に出るのも楽。
 3人の乗務員は、身なりも身のこなしもきちんとしたおじさん。みるからに信頼が おけそうです。途中のターミナルで食べる夜食はおいしい。シルクロードとスペイ ンでこの醍醐味を知ってしまったのです。
 それにしても、ターミナルには場所の名前が書いてないのですよね。だから「オン ジ アキ?(ここ、どこ?)」と地面を指してたずねます〔笑)。
 でも、いつもバスに置いていかれないように気をつけておかなければ。そのために は運転手が食べているのを見張っていることです。まあ、東洋人は私しかいないか ら、乗務員も私がいないとすぐ気づくでしょうが。
 さて、このバスは大手のペニャ社。休憩のとき自分のバス1台しかとまっていない ので安心して食べていて、いざ戻ってみるとペニャが3台もならんでいるではない か。しかも3台ともレイトで、まったくおなじ。さあ、どれが自分のペニャだろう か? でも大丈夫。前のガラスに20:45という出発時刻を書いたプレートが掲示して あるじゃないですか。これはこういう時のためでしょうか。 このバスには余裕のあるトイレはもちろんですが、水とコーヒーがあります。コー ヒーは、休憩のたびにチャージするので、いつも暖かいのは嬉しいですね。水は、 小さなパック入りで安心して飲めます。
 ブラジルにはこんなに山や丘があるのか、というのが今回の印象。とにかく道がぐ ねぐね、上下するのです。そこを最大限のスピードで疾走し、のろい車を追い越し まくります。サンパウロからポルトアレグレなんて幹線だから高速道路をつっぱし る、なんて思うのは大間違い。片側1車線のぐねぐね田舎道です。回りの景色はい つも変化しており、飽きることがありません。しかし、ポルトアレグレは遠い・・・  地図を見れば遠い道理ですが。
 そうそう、道中、すべての天候を経験しました。(さすが、雪やヒョウは降りません でしたが雷まではありました)