| ここであわてると 男がすたる。それにまだお昼だ。あわてることはなにもない。 と、地面に座って、機内食の残りを食べながら、地球を出してみる。町まで10キロとある。歩くのは無理だ。
 さてと、と見回すうちに、30歳くらいの男女3人組がやってきて、助けてくれそうな気配だ。
 どうやら、中国語も話せるウイグル人みたいだ。私が市内へ行きたがっていることは分かってもらえた。
 「ここへはタクシーは来ない。タクシーは電話で呼ぶのだ」と言っている。
 でも、電話でタクシーを呼ぶなんて、私に出来るわけがない。
 「・・・・・・」と答えておくと、じゃ、と女がターミナルビルに行き、やおらもどってくる。
 メモを取り出し、「xxxxxxに掛けた。xxxx番のタクシーが来るはずだ。15分ほど待て」といっているように見えた。そのとき、彼女がモトローラのポケベルを持っているのを発見して仰天した。この「地の果て」みたいな所で。
 わたしのために電話してくれたのだろうか。なら、電話代ぐらいは払わねば、と小銭を渡そうとすると、「いい」という。
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