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4 午後の教師ナタリー   



27才から33才の間とおもわれる。ほんとにフランス的な、やわらかな物腰。ホールで立ってタバコを吸うところは、とても決まっている。

午後の授業は、文法よりは実際場面を想定しての演習などが入る。 レストランの演習では、実際のメニューのコピーをもってきて、交代でウエイターを演じる。fourchette と couchette をまちがえたりして、大笑い。

あとは、電話でホテルやフライトの予約、街で道をたずねる練習、なぞなぞクイズなど、たのしいプログラムが続く。わたしは、アミダクジについて、紹介したりもした。 彼女の授業では、生徒は、必要に迫られるようにフランス語に挑戦していく、という形式をとっている。さらに、レッスンを終わって街に出れば、そく習った内容を試す事になるわけで、いやが上でも真剣になる。

彼女はゆっくり確認するように話してくれ、Voilaとか、N'est-ce pas?とかTu comprends? とか聞いてくる。このときの身のこなしが何とも優雅だ。

また、「おっと」というときに、Hop-laというのが口ぐせ。これが私には、なかなかおもしろい。これは、やはり教科書ではむりだね。

でも、生徒が英語やドイツ語で話しはじめると、Non. Pas d'allemand. とかいわれて、恐い。時間がかかってもよいから、フランス語で表現できるように努力させるやりかただ。

ジャンパーをはおって、ショルダーバッグをかつぎ、ちっこいルノーにのって帰っていくとこなんぞ、映画のシーンのようで、きまってる。